「転職は年明けか、秋か」という話は、体感で語られがちです。求人倍率は月ごとに公開されているので、2年分を並べれば季節の形が見えます。 転職サービス doda が毎月出している「転職求人倍率」の IT・通信の値と、厚生労働省の職業別の値、企業の採用担当者への調査を、2026年9月16日に確認して並べました。
IT・通信の求人倍率、月別の形
doda の転職求人倍率は「求人数 ÷ 転職希望者数」で、同社の登録者ベースの値です。日本全体の統計ではありませんが、毎月同じ定義で出るので季節の比較には使えます。
形は2年ともほぼ同じです。
- 12月が年間の最高(2024年 8.33倍、2025年 7.74倍)。11月から上がり、1月に落ちる
- 4〜7月が最低(2025年 6.27〜6.63倍、2026年 6.39〜6.83倍)
- 8月から秋にかけて再び上がる
「倍率が高い」は、転職希望者1人あたりの求人が多い、つまり競争相手が少ないことを指します。12月は求人が多く希望者が少ない月で、4〜6月は逆です。
出典: doda 転職求人倍率レポート 2024年10〜12月/2025年4〜6月/2025年7〜9月/2025年10〜12月/2026年1〜3月/2026年4〜6月/最新データ(2026-09-16 確認)
2025年は下がり、2026年5月から反転した
季節の形とは別に、水準そのものが動いています。前年同月との差を追うと、
- 2025年は 4月から12月まで9か月連続で前年割れ(IT・通信で −0.30〜−1.09ポイント)
- 2026年1〜4月も前年割れが続き、5月に +0.24、6月に +0.53 と前年超えに転じた
- 2026年7月の全体の求人数は前年同月比 +17.2%、転職希望者数は +4.8%(doda 発表)
つまり2026年秋は、季節としても上り坂で、水準としても回復局面にあります。この2つが重なる月は、2年の中では初めてです。
出典: 上記 doda レポート各号の前年同月差/パーソルキャリア 2026年7月分プレスリリース(2026-08-20 発表)
ハローワークの統計ではどうか
厚生労働省の「一般職業紹介状況」は、ハローワークの求人と求職者から作る国の統計です。doda とは母集団が違うので、値を混ぜずに別に見ます。
| 2026年7月 | 有効求人倍率 | 新規求人倍率 | 有効求人数 | 有効求職者数 |
|---|---|---|---|---|
| 職業計 | 1.05 | 2.04 | 2,038,005 | 1,949,781 |
| 専門的・技術的職業 | 1.69 | 3.19 | 465,658 | 274,949 |
| 情報処理・通信技術者 | 1.34 | 2.98 | 52,623 | 39,193 |
情報処理・通信技術者の有効求人倍率は 1.34倍で、職業計の 1.05倍より高い。ただし前年同月より 0.13ポイント低く、有効求職者は +6.3% と求職者の増え方が求人を上回っています。 全体の季節調整値は2024年の 1.26倍から2026年7月の 1.18倍までゆるやかに下がっています。
doda の倍率が回復に転じた一方で、ハローワークの IT 職は前年割れが続いています。2つの統計は対象が違う(doda は転職サイト登録者、ハローワークは窓口利用者)ので、どちらか一方だけで「良くなった」「悪くなった」とは言えません。
出典: 厚生労働省 一般職業紹介状況(令和8年7月分)・参考統計表 PDF 表7-1・7-2(2026-09-16 確認)
企業側は何月に採っているか
doda が採用担当者1,000人に「中途採用が活発な月」を聞いた調査では、「1年で中途採用が最も活発なのは、3月と9月」で、理由は「多くの企業が上期・下期の期初を迎える4月、10月の中途社員の入社を見込んだ採用をしている」と説明されています。 別のページでは、2025年の doda 掲載求人数は「9月から増えていき、11月にピークを迎えている」と書かれています。
倍率の12月ピークと、求人数の11月ピーク、採用活動の9月ピークは、4月・10月入社に向けた動きとして一つにつながります。
出典: doda 採用担当者1,000人調査(調査時期の記載なし)/求人数の月別傾向(2026-09-16 確認)
転職する人の数は月で変わるか
総務省の労働力調査では、転職者数は四半期ごとに公表されます。2024年から2026年の各四半期は 305〜347万人の範囲で、大きな季節差はありません。 ただしこの「転職者」は「過去1年間に離職を経験した就業者」という定義で、その月に転職した人数ではありません。月別の転職者数を示す公的統計は見つかりませんでした。
出典: 総務省 労働力調査(詳細集計)2026年4〜6月期(2026-09-16 確認)
ここまでで言えること
- IT・通信の求人倍率は 12月が最高、4〜7月が最低。2年とも同じ形
- 水準は 2025年に下がり、2026年5月から前年超え。2026年秋は季節と水準の両方が上向き
- 企業の採用活動は 3月と9月がピーク。4月・10月入社に向けて求人が積み上がる
- ハローワークの IT 職は倍率 1.34倍で職業計より高いが、求職者の伸びが求人を上回る
未経験で動くなら、求人が積み上がる9〜12月に相談を始め、4月か10月の入社を目標にするのが、公開データから言える順番です。逆に4〜6月は倍率が低く、同じ求人に希望者が多い時期です。 相談先は相談先診断で、年齢と地域の条件から絞れます。
この記事の数字はすべて出典元の公開値です。doda の倍率は同社登録者の統計、厚労省の値はハローワークの統計で、母集団が異なります。